筆者は現地、テレビ観戦合わせて週に1試合以上、観戦しています。
自分自身のプレイヤーとしての経験や観戦していて気付いた点を記します。
DAZNのハイライト(こちら)と Football LAB (こちら)やJリーグ公式サイトのトラッキングデータ(こちら)を用いて分析します。
この試合はヴィッセル神戸が2対1でガンバ大阪に勝利しています。
はじめに
今回はサッカーの試合の考察をしていきます。
現代サッカーではデータから多くのことがわかります。
このサッカーとデータの面白さを多くの人に知ってもらいたくて書くことにしました。
サッカーが好きな人にはもっと好きになってもらえれば、
そうでない人はJリーグに興味を持っていただければ、幸いです。
結果
Jリーグ公式サイトより(こちら)
Football LABより(こちら)
このデータより両サイド、G大阪のゴール前でのプレーが多かったとわかる。
今回はこの試合を考察していく。
3つのポイント
- 中盤の攻防
- 空中戦
- 切り替えと決定力
中盤の攻防
前半と後半に分けてボールの動かし方、システムの嚙み合わせを見ていく。
以下は Football LAB (こちら)の試合データの抜粋である。
このデータの30メートルライン侵入に注目すると神戸はG大阪の倍以上であると分かる。
前半
- ヴィッセル神戸(左→右)
《ボールの動かし方(左→右)》
16汰木が1対1となる
↓
49小林は裏へ抜け出し、24酒井はサポートに入る
↓
47ファンアラーノと15斎藤が付いていく
↓
25大﨑が9 Lペレイラ 15斎藤 18パトリックの真ん中でボールを受ける
↓
逆サイドの22佐々木へ
- ヴィッセル神戸(右→右)
右サイドでは左サイドと同様サイドチェンジに加えて2飯野が裏に抜け出すシーンも多く見られた。
《ボールの動かし方(右→右)》
22佐々木がカットイン
↓
2飯野がオーバーラップするが使わずに25大﨑にパス
↓
40食野と24黒川は体の向きが前向きになる
↓
25大﨑から2飯野へワンタッチのパス
※25大﨑の適切なポジショニングから正確なサイドチェンジが多く見られた。
G大阪は25大﨑を誰が捕まえるのかがはっきりしていなかった。
※前半は神戸が多く、クロスの場面を作っていたが中に11武藤しかいない場面が目立った。
これとG大阪の集中力の高さが神戸が前半無得点に終わった要因だろう。
後半
《システム変更》
後半から49小林→10大迫、22佐々木→41小田と交代
↓
神戸がビルドアップ時も4-4-2となる
↓
中盤が同数となり、G大阪の守備がはまりはじめる
↓
G大阪は前線からプレッシングできるようになる
↓
徐々にオープンな展開となっていく
空中戦
この日のガンバ大阪は空中戦に強い18パトリックと高さのある9 Lペレイラがいた。
17菊池、15 Mトゥーレル、3小林との空中戦も見どころだった。
以下は Football LAB (こちら)の2022シーズン敵陣空中戦データの抜粋である。
18パトリックに加えて10大迫も高い数字を出している。
前半の神戸は前線から上手くコースを限定して最終ラインで競り勝てていた。
後半になるとG大阪も前線でボールを収めることができるようになった印象だった。
特に68分のシーンでは18パトリックの空中戦の強さが出たシーンだった。
ハイライト 3:40 から(ハイライトはこちら)
両チームの最終ラインはハイボールの対応は上手くやれていたのではないか。
切り替えと決定力
特に後半になると攻守の切り替えが非常に大事になっていた。
全得点、切り替えがポイントになっていたと思う。
55分 9レアンドロペレイラの先制点
40食野に注目してみてもらいたい。
ハイライト 2:31 から(ハイライトはこちら)
47ファンアラーノ→29山本→40食野→24黒川とつなぐ
↓
24黒川のクロスは25大﨑にはじかれる
↓
40食野が拾い仕掛けるが41小田、2飯野に奪われる
↓
40食野が素早く切り替えたため2飯野のクリアが小さくなる
↓
29山本が拾い、再び40食野へ
↓
29山本は裏へ抜けるが40食野は後ろの15斎藤へ戻す
↓
29山本をおとりに24黒川が裏へ抜け出し、ボールを貰う
↓
24黒川のクロスに9 Lペレイラが合わせる
素早い切り替えと押し上げ、ポジショニングの良さが生んだ先制点だった。
83分 10大迫の同点PK
ハイライト 4:33 から(ハイライトはこちら)
この11武藤のPK獲得のシーンはいろいろな意見があり、筆者もきわどい判定だったと思う。
しかし、11武藤のボールへの反応の速さが生んだものだと思う。
そのため、このシーンもこぼれ球への反応の速さ、切り替えの速さがゴールにつながったのではないか。
90+3分 10大迫の逆転
ハイライト 6:07 から(ハイライトはこちら)
このシーンは終盤でも45鈴木にしっかりとついていった24酒井、しっかりと戻っていた5山口を賞賛したい。
45鈴木にボールが収まる
↓
24酒井が付いていく
↓
コントロールが大きくなったところを戻った5山口が挟み込む
↓
11武藤にボールが来る
↓
11武藤が41小田に預ける
↓
41小田が仕掛けたこぼれ球を11武藤が拾う
↓
11武藤が10大迫へパス
↓
10大迫がゴール
このシーンは神戸の戻りの速さもあったが、G大阪のボールロストの仕方もよくなかった。
また、ゴールした10大迫のプレーエリアを確保するために相手DFから離れて受ける技術、決定力の高さは別格だった。
以下は Football LAB (こちら)の2022シーズンゴール期待値データの抜粋である。
10大迫は日本人トップであり、非常に優れた決定力であることがデータからもわかる。
10大迫の復帰は今後の試合を考えても神戸にとって非常にうれしいニュースではないか。
まとめ
残留争い真っ只中の両チームの激しい球際、スタジアムの雰囲気は見ているものをしびれさせた。
選手、サポーターの思いが全面に出ていた好ゲームだった。
筆者個人としてはヴィッセル神戸、ガンバ大阪両チームとも来シーズンもJ1で見たい。
ガンバ大阪に関しては先日全体練習に合流した39宇佐美の復帰もカギになってくるだろう。
残り4節の両チームに期待したい。
今回は戦術に加えて個人の技術にもスポットを当てて書いてみました。
データを超える驚きもサッカーの面白さだと思うのでこれからもJリーグの試合の記事を書いていきたいです。
お読みくださり、ありがとうございます。